大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(ネ)1745号 判決

このように、取締役選任および定款変更に関する株主総会決議の取消の訴の係属中にその決議によって選任された取締役が死亡もしくは退任によって取締役としての権利義務を喪失し(退任取締役鈴木春男についても前記のように控訴会社の取締役の員数は三名以上五名と定められていたところ、その退任後も四名の取締役が在任し、商法第二八五条一項の規定によってなお取締役の権利義務を有することとなる余地はなかった。)、その後の株主総会の決議によって前になされた定款変更決議が廃棄され定款変更以前の状態に引戻された場合は、特別の事情のないかぎり、当該取締役選任ならびに定款変更の決議を取消すことは何等の実益もないところであり被控訴人に決議取消請求権があったとしてもそれは右取締役の死亡、退任ならびに定款変更決議の廃棄によって消滅し、本訴取消請求はその理由なきに帰する。ところで本件につき右特別事情が存するかどうかをみるに、この点に関する被控訴人の主張は、取消しうべき株主総会の決議に基づき取締役として選任すべからざる者を就任させた他の取締役の責任を追及し、また右決議が廃棄されるまでの間株式の自由な譲渡を妨げられたことによる損害の賠償を請求するためには、今なお本件決議取消の利益があるというのであるが、右の他の取締役の責任および株式譲渡が妨げられたことによる損害の如何について何ら具体的に主張立証するところがないのであるから、本件について特別事情を認めるに由なきものである。

(菅野 渡辺 小池)

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